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naototabelog味処なか
naototabelog味処なか

10/25/2022

熊本県阿蘇市の山中にある秘湯黒川温泉の夜は早い。特にこの日は台風14号の直撃前夜ということもあり、殊更店じまいが早かったようだ。夕方の5時にはほとんどの飲食店が閉店してしまい、夜7時に食事をできる飲食店は片手で数えられる程だった。そんな台風前夜にも関わらず逞しく営業していたのが「味処なか」だ。店前には川が流れ、周囲には趣のある温泉旅館が並ぶ。時折、小雨も降っていたので人通りもまばら。喧騒が辺りを包むなか、水嵩を増した川の轟音だけがその場を支配した。 「味処なか」では郷土料理の高菜飯やだご汁などがいただける。きっと外国人観光客にも人気なのだろう。メニュー表には英語が併記され、メニューごとに番号が振られていた。外国人観光客に対する配慮だと推察する。 私は店員さんを呼んで注文した。いちいちメニュー名を読むのも煩わしいので、番号で注文した。「7番が2つと、、、」と注文すると、店員さんが私の発言を遮り鋭いカットインを見せた。「注文は何ですか?」番号による注文が全く通用しなかった。私は改めて「高菜めしとだご汁のセットが2つと、、、」と注文し直した。なぜ番号による注文が通用しないのか。形容し難いフラストレーションが喉元まで昇ってきた。 よくよく店内を見渡すと外国人観光客など1人もいない。きっとコロナの影響で随分と長い間、外国からの観光客など来ていないのだろう。それで店員さんは番号による注文システムを失念してしまったに違いない。思いがけない範囲まで波及しているコロナの影響に面くらいつつも、私はだご汁の中の平麺を喰らった。その後人生初の馬刺しを食べて台本通りに「馬い!」と叫んだことは想像に難くないだろう。