10/25/2022

生粋のしらす好きの私にとって鎌倉で生しらす丼を食べる事はマストの事項と言って全く問題なかった。一般的な釜揚げしらすであれば近所のスーパーで買うことも可能。しかし、生しらすとなれば話は別だ。生しらすは鮮度が命のため、獲れたその日に食べなければならない。つまり、港が近い街のご飯屋さんでしか生しらす丼は食べることができないのだ。その点、鎌倉は非常に海が近いため、その日に獲れた新鮮な生しらすを食べることができる。その生しらすをご飯の上に乗せれば生しらす丼の完成だ。この変化が塑性変形ではない点を考慮すれば、その生しらす丼の上の生しらすを取り除けば白飯となる。さらに、中華鍋に溶き卵とその白飯とネギとチャーシューを加えて味を整えればチャーハンが出来上がる。このチャーハンにしらすを加えればしらすチャーハンの出来上がりだ。 私はとにかく昔から何にでもしらすを入れる子供だったという言い伝えがある。チャーハンに始まり、卵焼きに入れてみたり、納豆に混ぜたり。最近では、アヒージョにしらすを入れるというお洒落な技まで習得した。 そんなしらす好きの私の舌を唸らせるのはそう簡単なものでない。私は絶対に美味しいとは言わなさそうなシェシバタの柴田シェフの様な鬼の形相で生しらす丼を待った。生しらす丼が到着し、いざ一口食べてみた。私の口からは「うみゃあ」という名古屋弁が流暢に飛び出した。一瞬、子猫が鳴いたのかと錯覚させるような発言だったためか、店中のお客さんがこちらを見た気がした。その視線の先には猫も杓子も美味いしか言わない生しらすをくわえたドラ猫が一匹いるだけだった。 . <店舗情報> ・店名:魚かま本店 ・住所: 神奈川県鎌倉市小町2-9-5 中山ビル 2F .